毎年この時期のお楽しみ♡
モリサワの新書体が今年もリリースされましたね!
「MORISAWA PASSPORT アップグレード2018年10月版」として今回追加されたのは「しまなみ」、「かもめ龍爪」、「さくらぎ蛍雪」、「秀英にじみ丸ゴシック」、「エコー」、「オーブ」の6書体。
去年の新書体も最高でしたが、今年も全体的に上品でとても素敵ですね!
というわけで早速新書体を使ってみます。
まずは「しまなみ」、「かもめ龍爪」、「さくらぎ蛍雪」の3書体から。
しまなみ
モリサワタイプデザインコンペティション2016和文部門でモリサワ賞金賞・明石賞を同時受賞した、オールドスタイルの明朝体。
毛筆のニュアンスを取り入れたエレメントが特徴で、明朝体としての雰囲気を残しつつも、より情緒的に。
美しいしまなみ海道の夕焼けが似合う感じ。
ふわり、ひらりとしたニュアンスがくどすぎずとても上品でスッキリとしていて美しいです。
タイトルにも本文にもとても使いやすい!
個人的にはこのあたりの字がとくに好きです。
「お」の払いがくるんと跳ね上がり点へとつながるかわいらしさ。
「の」の潔くバランスの良いフォルム。
「心」の絶妙な角度と3つの点の美しいバランス。
(心って難しい字ですよね、心が美しいフォントは貴重だなと思っています)
そして一番きゅんときたのは「ふ」!
この「ふ」のこれ以上ない完成されたデザイン。たまらないです。
かもめ龍爪(りゅうそう)
豪快でたっぷりとした収筆、鋭く大きなはらいが組み合わされた力強い宋朝体。
中国・宋の時代に四川地方で刊行された儒教経典『周礼』を元に復刻した「龍爪」と、1943年に内閣印刷局より発行された『内閣印刷局七十年史』を元に復刻した和字(かな)書体「かもめ」をマッチングした書体です。
あぁ…美しい組み合わせ。
男性的な荒々しい強さというよりも、女性的な内なる強さを感じる書体。
「龍爪」は中国の宋朝体のデザインですが、このキレ味ある美しさは日本酒のボトルにも合いそう。
…と思ったら既に、Topawards Asia受賞の「白鶴 天空 袋吊り 純米大吟醸」に使われているみたい!
Topawards Asia受賞「白鶴 天空 袋吊り 純米大吟醸」
居酒屋さんや焼き鳥屋さん、割烹料理屋さんなどのメニュー表のデザインにも使いやすそう。
「龍爪」と別フォントのかなで合わせるのも面白そう。
今回一緒に新書体としてリリースされた「しまなみ」含め、印象の違う5書体と合わせてみました。
ダイナフォントの「金文体つばき」やリョービの「良寛」のような、癖の強いかなと合わせても負けずにマッチ。
これらはキャッチやタイトルにポイント使いしたら印象的になりそうです。
「しまなみ」ともごく自然に馴染みますね!
Adobeの「貂明朝」はちょっとウェイトが太いので浮く…「龍爪」の方を若干太らせたらもっと馴染みそう。
「丸明オールド」は丸みが邪魔するかと思いきや意外とスッキリ。
そのままでも、組み合わせても、使える幅が広い優秀フォントな印象です。
さくらぎ蛍雪(けいせつ)
一字ずつ丁寧に書きあげたような端正な表情の清朝体(軟体楷書体)。
中国・清王朝の時代に揚州詩局より発行された『欽定全唐文』の文字を復刻した「蛍雪」と、1919年に文部省より発行された『尋常小學修身書 巻三』から復刻した和字(かな)書体「さくらぎ」をマッチングした書体です。
整った端正なフォルム。
寄ってよくよく見ると繊細なアナログ感が表現されていて、柔らかい印象。
個人的な好みはこのあたりです。
漢字もかなも、全体的に規則正しく整った印象の「さくらぎ蛍雪」の中で、かなの「あ」「こ」「す」「み」あたりが程よく崩してリズムを与えてくれるのが心地よい。
漢字の「語」の縦横の線の入り方のバランスもなんともいえない、堪らない美しさ。
ひとまず今夜はここまで…
ついつい長くなってしまったので、新書体はひとまず前半戦でここまで。